ハマビシとは

ハマビシとは学名トリビュラステレストリスといい、世界各地に分布している植物です。

砂浜に生えてトゲにおおわれていることから、日本では浜菱（ハマビシ）と呼ばれ、千葉県以南の本州、四国、九州の温暖な海岸に自生しています。

ほかの植物が生き残りにくいような乾燥した気候の場所でも生育できる強さをもちますが、近年は環境破壊によって生育数が激減しており、年々貴重になりつつあります。

インドではゴクシュラと呼ばれ、5000年前から伝わる人間の自然治癒力を強化するアーユルヴェーダ医学で、腎臓と泌尿器の健康的な働きに役立つとされ用いられてきました。

漢方では健康的な性機能をサポートする生薬とされています。欧米では男性ホルモンであるテストステロン値を増加させる作用があるとされ、健康食品に取り入れられているように、世界中で使われています。

ハマビシの効果

ハマビシのもっとも注目される作用が、テストステロンの増加です。そのほかにも泌尿器系に対しての数々の効果が確認されています。

また、生体内でさまざまな生理活動の調整や影響を与える活性物質であるステロイドサポニン、β-カルボリンアルカロイド、フラボノイド、リグナンアミドといった強力な成分を含んでいます。

これらは動脈硬化の予防、抗炎症、抗アレルギー、脳機能改善、抗菌、抗酸化作用といった効果をもちます。

テストステロンの増加による効果

ハマビシには体内のテストステロンの分泌量を増加させる作用があることがわかり、現在世界中で活用されています。

テストステロンは男性機能をつかさどる重要なホルモンです。身体の各所でたくさんの働きをもっています。

主にED（勃起不全）など性機能の向上や筋力増強、精液の増加、脂肪燃焼、そして肉体面だけでなく、やる気や活力の向上といった効果もあるといわれています。

また、男性にもあるとされる男性更年期の原因は、女性と同じく性ホルモンの減少によって起こるため、ハマビシは男性更年期の改善にも期待ができます。

ハマビシを体内に摂り入れると、まず脳下垂体の黄体形成ホルモンという物質が刺激し、、精巣にあるライディッヒ細胞という物質がテストステロン分泌を促します。

具体的な例として、ヨーロッパでは2016年の調査で45～60歳の14名の男性に1日900mgのハマビシを飲ませたところ、6週間でテストステロン値が12％上がったとされるデータがあります。

一方で2007年のアメリカの調査では、18～29歳の22名の男性に1日450mgのハマビシを飲ませた結果、5週間後も何も変化がなかったというデータも出ています。

以上の研究からテストステロンの増加に関して、全体的にはテストステロン量が足りている30代未満には変化が出にくく、40代以上の人に効果が出やすい傾向にあるようです。

そのほかの効果

このほかにもハマビシには泌尿器系の機能改善効果があるといわれています。事実、インドのアーユルヴェーダ医学では腎臓と泌尿器系の正常な働きを保つために使われてきた歴史があります。

尿の流れを良くし、尿路障害の良化や腎臓結石、膀胱感染症などの尿路感染症、排尿障害といった泌尿器系のさまざまな症状改善に期待できます。

また、日本ではハマビシの果実部分は疾黎子 (しつりし) という名の生薬として、利尿・消炎作用をもつ医薬品成分に該当していることからも、その有効性が確認できます。

ハマビシの摂取方法

ハマビシはそのまま摂取するということはなく、果実を乾燥させた粉末を生薬や煎じ薬にしたり、抽出したエキスをサプリメントや医薬品にして摂取する方法が取られます。

国によっては医薬品として指定されているほど成分が強力である分、摂取方法や摂取量には十分な注意が必要です。

目安量

ハマビシは医薬品、サプリメントどちらも、規定されている量を超えて摂取しないように注意しましょう。

WHO（世界保健機関）では2009年に、ハマビシの粉末乾燥果実を使った煎じ薬には1回で約3～6mg、1日あたり約6～9gを上限と定め、12歳未満の子供への使用は推奨しないという報告がされています。

ハマビシの抽出物を原料とするサプリメントでは、1日最大推奨摂取量として約250～9000mgの範囲と定めた例もあります。

効果的な飲み方

ハマビシは主にテストステロンの分泌を適正に保つ効果がみられるため、テストステロン値が正常である10代～30代の男性が摂ってもあまり効果が感じられない場合があります。

逆にテストステロンが減少していく40代以降の人にはとても効果的であるといえます。

ただ、成分が強力であってもあくまで天然の原料なので、身体の中から自然に改善していくよう作用するため、毎日継続して飲むことが良いとされます。

性機能を強化させるためには食事と一緒に飲むことで吸収が高まるといわれ、筋力アップが目的の場合は、トレーニング前に飲むのが効果的であったりと、飲むタイミングは目的によってさまざまです。

ハマビシの副作用

ハマビシには神経系、筋肉、肝臓、腎臓への影響があるという報告があります。短期間摂取には安全性が確認されていますが、長期間の摂取は安全性に対する検証がされていないため注意が必要です。

報告される被害事例の多くは過剰摂取です。1日など短期でも極端な過剰摂取や、1ヵ月を超えるような長期にわたり健康体で摂取を続けたりする際、副作用があらわれた報告がされているようです。

その他の特殊な被害事例として、イランで21歳のボディビルダーがステロイドの代替え品としてハマビシを摂取したところ、テストステロンの低下と女性化乳房の症状が出たという報告があります。

また、アメリカでは30歳男性がボディビルのために摂取しつづけた際、体重減少、虚弱、吐き気、黄疸などの症状が出て、急性高ビリルビン血症、胆汁うっ滞、急性尿細管壊死という診断が出た報告があります。

もともとテストステロン値が高い人には効果がなかったり副作用が出たりする可能性があります。

ハマビシの注意点

ハマビシは胎児の発達に悪影響を及ぼす可能性があるとされているため、妊婦が摂取することは危険であるといわれています。授乳期の女性に関しても安全性に関して十分な情報がないため、使用を避けたほうが良いとされます。

また、理論上の相互作用として、利尿作用があるため、体内のリチウム濃度が上昇する可能性があります。

リチウム濃度が上昇すると中枢神経、循環器、消化器の諸症状や、甲状腺機能低下などの症状があらわれる可能性があります。

血糖降下薬との併用も、過剰な血糖降下作用が出る可能性があり注意が必要です。

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参考サイト：
・ハマビシ-Wikipedia
・Tribulus terrestris-Wikipedia（海外）