ヨヒンベとは

ヨヒンベとは西アフリカ原産のアカネ科の野生植物です。これらの地域では古くから民間療法や伝統医療として用いられ、もともとは熱、咳、ハンセン病、または催淫剤、局所麻酔の薬として使われ始めました。

アフリカ以外の地域でも、メディカルハーブとして1890年代にヨーロッパに伝えられて以降、科学的な研究も進んでいます。

その後ヨヒンベの樹皮が性的機能不全の治療をはじめさまざまな効果をもつことがわかり、現在は精力剤や医薬品成分として使われています。

ヨヒンビンとの違い

ヨヒンビンはヨヒンベから発見されたインドールアルカロイドという有機化合物の一種です。1896年にヨヒンベの樹皮より見つかり、1943年には正しい化学構造が発見されています。

このヨヒンビンは一酸化窒素を放出して皮膚や生殖器の血管を拡張する作用が報告されています。

またノルアドレナリンを放出する作用も確認されており、イヌやシカの鎮静状態の回復にも用いられることから、興奮を持続させる作用をもつとされています。

ヨヒンベの効果

ヨヒンベの最大の特徴であり効果は性機能を高めることにあります。古くからアフリカ西部の先住民に「精力の樹」とも呼ばれ、非常に強力な精力増強や催淫効果があることが知られ、民間療法で使われてきました。

研究が進んだ現在では性機能以外の面でも身体にいい様々な効果が発見されています。どれも高い効果が認められるかわりに、ヨヒンベは国によっては医薬品として指定され、日本では劇薬に指定され扱われているほどです。

性機能や精力の増強効果

ヨヒンベには血流を改善させることによって海綿体への血液流入を促し、ED（勃起不全）をはじめとする性機能不全を改善させるといわれる効果があります。

また、ヨヒンベには興奮作用があり、男性に限らず女性にも効果が認められています。

このヨヒンベの興奮作用は興奮を促すというよりも、一度高まった興奮を鎮めにくくするという質の作用です。そのため、興奮の持続によって心因性のEDにも効果があるといわれています。

さらにヨヒンベは射精の促進にも効果があるとされるため、膣内射精障害による男性不妊の治療にも応用する研究が進められています。

そのほかの効果

一方、ヨヒンベには精力増強以外にもうれしい効果が発見されています。それが、ダイエット、体力増進、便秘改善といった効果です。

ダイエット効果に関しては、ヨヒンベには脂肪を燃やす働きが認められています。脂肪をためるα受容体という物質の働きを抑える作用です。

すると、脂肪を分解する働きをもつβ受容体だけが働き、脂肪を燃やす状態が続きやすくなります。

さらに血流を増進させる作用によって、分解された脂肪酸を全身に運びやすくなり、効率よくエネルギーに変換して、より脂肪を消費できるようになります。

体力増進作用としては筋肉を増大させる効果が見込めるので、アメリカではアナボリックステロイドの替わりにヨヒンベが用いられることもあるほどです。

最後に便秘改善効果に関しては、血流の改善で消化器官の働きが促進されるといわれています。

詳細な仕組みはいまだ解明されていませんが、事実として、ヨヒンベを飲んだ多くの人に便秘改善が見られたという報告があります。

ヨヒンベの毒性について

ヨヒンベの樹皮や抽出物に対しては臨床試験が行われていないため、ヨヒンベの健康障害がどのようなものかが正確にはわかっていません。

しかし、ヨヒンベは大変強力な成分のため、要指導医薬品として日本では薬剤師の対面による指導が義務付けられています。用量によって血管収縮作用と血管拡張作用どちらの症状も現れると報告されています。

ヨヒンベの摂取方法

ヨヒンベは植物ですが、そのまま食べたりして摂取することはありません。サプリメントで摂ったり、国によっては医薬品として摂取されています。

世界各地の保健機関で頻繁に注意喚起が行われているほど強力な成分であるため、摂取方法で大事となるポイントは、摂取量だけではなく、摂取期間も重要になります。

用途に応じて食中や食間に飲むよう規定されているものが多いですが、精力増強目的の場合は、性行為の前に飲むと効果的とされることもあります。

ただし、これが空腹時に重なると、胃痛などの症状が出る可能性もあります。

目安量

ヨヒンベの摂取量は1回につき30mg、1日ですと100mgを超えてはならないといわれています。目安量は体重1kgあたりで約10～100マイクログラムが適正といわれています（1マイクログラムは0.001ミリグラムです）。

低用量では効果が期待できないということがありますが、高容量を摂取したからといって高い効果が出るものではなく、むしろ深刻な副作用が考えられますので、摂取量は必ず守りましょう。長期間飲み続けることも危険とされています。

ヨヒンベの副作用

ヨヒンベは体重1kgあたり1mg以上を過剰摂取した場合、興奮が抑えられ射精も抑制されてしまう効果が働くといわれています。

人はもともと興奮する働きと興奮を抑える働きがセットになっています。

そのためヨヒンベをたくさん摂って興奮を抑える働きを強くしようとしても、興奮が高まるわけではなく副作用だけが強化されることになるので危険です。

このほか、頭痛、めまい、嘔吐、震え、危険なレベルでの血圧上昇や血圧低下、頻脈、神経過敏、心拍数上昇などの副作用が起こる可能性があります。

不眠の副作用が出る場合があるため、就寝前の飲用は避けたほうがいいといわれています。

ヨヒンベの注意点

ヨヒンベの飲用にあたっては、次のような持病を持つ人は注意、またはお飲みいただけない場合があります。
・狭心症
・精神疾患
・高血圧
・心臓病
・肝臓疾患
・腎臓疾患

興奮剤として有名なカフェインやエフェドリンも、同じ興奮剤であるヨヒンビンと組み合わせるのは厳禁です。

また、抗うつ剤やパーキンソン病でよく使われているMAO阻害剤や、三環系抗うつ剤といった精神科系の薬とは、非常に相性が悪いので併用はすすめられません。

チラミンが含まれる赤ワインなどのアルコール類やレバー、チーズ、発酵食品、燻製食品と一緒に摂るのも危険とされます。

血流をよくする働きがあるため、血圧をコントロールする薬との併用も、心臓に負担がかかりすぎるため併用禁止です。

これらを含め不安のある人は必ず医療機関で医師に相談して意見を聞くようにしましょう。

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