こんにちは、ゲスト
上へ戻る

更新日:

メトホルミンと癌の関連性

main

メトホルミンについて調べると「癌」という関連ワードが出てきます。
そのため、「メトホルミンを飲むと癌になるの?」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。

しかし、メトホルミンに発がん性はないので安心してください。
むしろ、最近ではメトホルミンに抗がん作用があるとして、多くの研究機関から報告されています。

この記事では、複数の医療情報をもとにメトホルミンと癌の関連性についてわかりやすく解説しています。

メトホルミンを飲むにあたって不安を解消しておきたいという人は、ぜひ最後までご覧ください。

メトホルミンの抗がん作用

メトホルミンの抗がん作用

メトホルミンは、がんの発症や再発のリスクが低下すること、がんの成長を抑制する抗がん作用があることなどが報告されています。
また、メトホルミンを長期間飲み続けることで、がんによる死亡率が低下することも分かっています。

そして、日本の研究グループの研究によって、メトホルミンが制御性T 細胞の増殖と機能を抑制することも新たに判明しました。
マウスを使った実験においても、メトホルミンの投与によりがん細胞の増殖が抑制されたことが確認されています。

またこの研究でメトホルミンが、がん局所の制御性T細胞だけを抑制する効果も認められました。

制御性T細胞は体の免疫反応の抑制をおこない、自己免疫疾患の発症を防ぐ働きをしています。
しかし、がんに対する免疫反応も抑制するためがんが増殖してしまうのです。
そのため、がんの予防や治療にはがんの中にある制御性T細胞だけを減らすか機能を抑制することが理想的とされています。

つまり、この研究で判明したメトホルミンのがん局所の制御性T細胞だけの増殖と機能を抑制する効果は、今後より有効ながんの治療法の開発につながる可能性があるのです。

現在がんの治療法は主に手術抗がん剤放射線治療の3つと、新しい治療法として免疫治療法があります。
メトホルミンは抗がん剤や放射線、免疫治療などの従来の治療法と併用することで、がんに対する治療の効果がさらに高まると考えられているのです。

なお、メトホルミンの効果については別の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてお読みください。

メトホルミンは癌を予防できる?

メトホルミンには、がんの発症や再発を予防する発がん抑制作用があると、疫学的研究で確認されています。
実際にメトホルミンを飲んでいる人は、飲んでいない人と比べてがんの発症率が低いことが報告されているのです。

メトホルミンによる発がん抑制作用は、メトホルミンがインスリンの血中濃度を下げることで、がん細胞の増殖が抑えられるためです。

さらに糖尿病ではない人に対しても、がんの発症や再発を予防できる可能性が期待されています。

メトホルミンの発がん性

メトホルミンの発がん性

メトホルミンによるがんの発症率は、0.000182%とされています。

これは、メトホルミン1500mgを10年間毎日飲み続けた場合の理論上のがん発症率です。
具体的には、55万人に1人ががんを発症する程度の確率ということになります。

したがって、メトホルミンによってがんを発症する可能性はほぼありません。

メトホルミンは発がん性物質?

結論からいえば、メトホルミンは発がん性物質ではないので安心してください。

メトホルミンによる発がん性が疑われたのは、一部のメトホルミン錠のPTP包装品から発がん性物質が検出されたからです。
しかし原因はメトホルミンそのものではなく、PTPアルミ箔の印刷インクに含まれる物質が、メトホルミン錠と反応したことで発がん性物質が生成されたためでした。

なお、発がん性物質が検出されたメトホルミン錠は全て回収されています。

メトホルミンは発がん性物質ではなく、現在は製造過程も見直されているため安心して飲み続けられる医薬品です。

メトホルミンによる癌治療の臨床試験

メトホルミンによる癌治療の臨床試験

メトホルミンは、様々ながんに対する抗がん作用が期待できることから、がん治療に対する臨床試験がおこなわれており、有効性も報告されています。

国立がん研究センター中央病院などによると、膠芽腫に対する臨床試験においてメトホルミンにより、膠芽腫モデルマウスのがん幹細胞の腫瘍形成能を喪失させる可能性が報告されました。
この成果をもとに、2019年には「ガン幹細胞に対する分化促進薬及び脳腫瘍治療薬」として特許を取得しています。

また、直腸がんに対する放射線治療とメトホルミンの併用についても研究と臨床試験がおこなわれています。

この研究では、直腸がんに対するメトホルミンと放射線治療の併用で抗腫瘍効果を示すことが報告されました。 さらに、放射線を照射していない部位に存在する肺転移に対しても腫瘍の増大や転移の抑制が確認されたのです。
また、臨床試験ではメトホルミンを直腸がんの術前放射線化学療法と併用することで、がん細胞が完全に消失したことが確かめられた確率が向上したことが報告されました。

腫瘍の縮小だけでなく予後にも良い影響を与えることが証明されれば、今後メトホルミンが進行直腸がんに対する標準治療として応用される可能性があると考えられています。

※参考サイト: 膠芽腫に対するメトホルミンと抗がん剤の併用療法|国立がん研究センター(外部サイト)

膠芽腫治療へのメトホルミンの使用について

膠芽腫へのメトホルミンの使用については、「やらないよりはやったほうがいい」という考えだとされています。

膠芽腫とは悪性度の高い脳腫瘍で、希少かつ難治がんです。
現在の治療では摘出手術と、その後の抗がん剤と放射線治療の併用、抗がん剤の継続が標準治療とされています。
しかし、予後が不良な疾患で治療成績は良くありません。

そこで、新たな治療法として手術後の抗がん剤とメトホルミンの併用が検討されて先進医療として申請されました。

メトホルミンが膠芽腫への治療法が有効性を発揮するには、標的である膠芽腫細胞に到達する必要があります。
しかし、メトホルミンは脳内移行が上手くできる医薬品ではありません。
メトホルミンを1日の最大量まで投与したとしても体内のメトホルミンの濃度が、膠芽腫細胞に到達するのに必要なラインまで満たない可能性があるのです。

ただし、膠芽腫は治療成績を改善する必要性が高い疾患です。
この必要性を踏まえて、この治療法の実施計画は「少しでも可能性があるならば研究に期待すべき」という評価を受けました。

※参考サイト: 先進医療B 実施計画等評価表(番号B111) 厚生労働省(PDF)

メトホルミンのリスク

メトホルミンのリスク

メトホルミンは様々な分野で有効性が示されている医薬品ですが、副作用などのリスクもあります。

メトホルミンの主な副作用としては、消化器症状(下痢、吐き気、腹痛、食欲不振、便秘)や低血糖乳酸アシドーシスが挙げられます。

また、重い腎機能障害などメトホルミンの禁忌とされる既往歴や疾患、症状がある場合はメトホルミンを飲めません。
禁忌に該当しない場合も健康状態などによっては飲めない場合もあります。

メトホルミンは重大な副作用が少なく、有効性や安全性の高い医薬品とされています。
ただ、副作用や禁忌事項もあるため事前に確認しておきましょう。

まとめ

ここまでにお伝えしたことのポイントをまとめました。

  • メトホルミンには抗がん作用がある
  • メトホルミンによってがんによる死亡率が低下する
  • メトホルミンにはがんの発症や再発予防する発がん抑制作用がある
  • メトホルミンそのものによる発がん率はとても低い
  • 日々臨床試験や研究がおこなわれており、有効性が報告されている

メトホルミンは、研究によって様々ながんに対する有効性が報告されています。
がん治療に対するメトホルミンの応用は、より効果的で安全な治療法の開発につながる可能性があると考えられているのです。

Q&A

Q&A

Q.メトホルミンは膵臓がんを予防できますか?

A.アメリカのテキサス大学の研究でメトホルミンを飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて膵臓がんのリスクが62%低下したという結果が報告されています。

他にも肺がん、大腸がん、乳がんなど多種類のがんで抗がん作用が確認されました。

また、糖尿病でない人に対してもがんの発症や再発を防ぐ可能性が期待されています。

Q.メトホルミンを長期使用するとどうなりますか?

A.メトホルミンを長期間飲み続けると、ビタミンB12欠乏症貧血を引き起こしやすくなる可能性があります。

これらの症状を引き起こす原因は不明ですが、メトホルミンを長期間飲み続けることでビタミンB12の血中濃度が低下するという報告があります。

ビタミンB12は魚介類や肉類に多く含まれている栄養素です。
メトホルミンを長期間飲んでいる人は、ビタミンB12を積極的に取るよう心がけましょう。